アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 27

前回に続き、第六章【筆圧痕問題の意味】について。    その前に記しておきたいが、この第六章は込み入った内容について非常にわかりやすく記述されており、ここを担当した、科学者であろう執筆者のさらに別の高度な能力がうかがわれる。難解な事柄を噛みくだき分かりやすく伝える、という意味でだ。さて、筆圧痕が先に生じていることを示す"中抜け現象"を見つけるまでこの問題の本質に迫った弁護団であったが、ここに至る過程で他にも疑惑の種となる事象が湧き出てくるのである。例を挙げると、筆圧痕のついた図面の多くがある特定の警部による取り調べのときのものに集中している。被告が書いた図面で表に出されず捨てられてしまった図面がある。いくつかの図面に「石川一雄」(被告の名前)という文字の筆圧痕がみられるが、当時被告は「雄」の字がむずかしいのでもっぱら「一夫」と書いており、自供図面・調書の署名はすべて「一夫」としていた。となると「一雄」という筆圧痕は、被告以外の誰かがうっかり書いた文字の痕跡ではないか。また、当時の被告は平仮名の「つ」を「ッ」と書いていたが、図面番号二〇二二の自供図面の説明文にはいったん「つ」と書かれこれを消しゴムで消し「ッ」と書きかえられている痕跡が認められる。この「つ」の使用は図面番号二〇七五、二二九五にもみられ、この二つの図面はなんと「時計を捨てた場所」を示す図面である、と多彩である。最後の「つ」疑惑について本章は、これらの図面の本当の作成者、したがって「時計を捨てた場所」を本当に知っていたのはだれだったのかが、自供図面そのものから浮かび上がっている、と締め括っている。なお、被告自身「筆圧痕からはずれて鉛筆線を引くとおこられて書き直しを命じられた」と述べていることからも、担当取調官たちのとった黒い行為を白日の下に晒さなければなるまい。  

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