アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 16

狭山事件公判第二審において(p2919)、山梨検事が石田一義証人に、自殺した兄、T利造について質問するのだが、質問内容を要約すると、*腕力の強さ。*ドラム缶をかついでどの程度運べるか。*ドラム缶(空)の目方。*どういうふうにして運ぶか。*中身が入っていたら(どう運ぶか)。などと、執拗である。山梨検事の、質問の意図するところは本当は何であったか。一連の犯行を一人で行うには相当な労力が必要であるが、それとは触れず、犯行とは関連しない、独立した個別の疑問として問う検事。決して石田T利造を犯人視するわけではなく、ましてや石田T利造に備わった強力な腕力を用いれば犯行は一人で可能などとは一切考えておらず、あくまで彼の職業上での技量に対しての問いである。ところが、これに対して弁護団による石田T利造の疑惑への追求は全く容赦しない。狭山事件公判調書第二審第4分冊に目を通すと、それは明らかだ。一部抜粋する。被害者の遺体に「ひこつくし」と呼ばれる結び方の縄が残されていたが、この特殊な縄と石田T利造の関連について弁護士は「この方が事件の大分前ですが野犬狩りのひこつくし様のひもをもって、よく歩いていたようだということはあなた方の捜査から上がっておりませんか、上がっておるんじゃないですか」と証人(捜査員)に迫る。更に情報として彼は当時33才。家畜商をかねて所沢市営屠殺場(原文ママ)で豚の屠殺(原文ママ)に従事。父、○郎、所沢保健所に勤務、野犬狩りになくてはならぬ熟練者、功労者と調べ上げ、駄目押しに「T利造」が事件前、地下足袋(九文七分)を石川家から借り未返却と述べる。石川家とは冤罪を訴えている石川一雄氏の家である。弁護団の情報収集能力は優れている。インテリジェンスオフィサーとして世界に通用するレベルではないか。とまあ、ここまで読んでみた感想は、公判調書という表面には現れない、水中、水底に隠れる真犯人の像を、実は弁護団は感じ取っており、だが優先するのは石川一雄被告の弁護であり無罪を勝ち取る事であって、肝心の、もしかすると弁護団が特定していたかも分からぬ真犯人像を明らかにせよ、と望むのは酷か。刑事訴訟法では弁護士も捜索令状が請求できる。この弁護団ならば全面解決も可能ではなかったか、と私は思った。

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尚、石川一雄被告の支援団体によって単独犯行が再現実験され、その場合、単独では相当無理な行動であることが証明されている。