アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる

      狭山事件における衝撃度とでも言おうか、軽く流すことの出来ない、私の心を鷲づかみにした要因の一つに犯人から被害者宅に投げ込まれた脅迫状がある。現物の記録写真を見た時の恐怖感、これは未だに感じるのであるが、その内容といい、字体が醸し出すオドロオドロしさといい完全に両者は共鳴し合い、脅迫状としての効果を劇的に発揮しその目的を達成しているのである。尚、この脅迫状には被害者の学生証も同封され更に同女の自転車を被害者宅に置くなど脅迫としてのとどめを刺している。今こうして振り返り考えてみると、この狭山事件の犯人はとても一般人とは思えない。被害者を強姦し殺害、穴に埋めその後で被害者宅に脅迫状を届ける。さらに身代金を取りに現れ逃走を図るのである。この一連の犯罪を行う場合、相当なエネルギーが必要であり一般人であればどこかでそのエネルギーが途絶え失速するだろうと私は考える。類似した事件の経験者か、複数犯か私には分からないが。 

f:id:alcoholicman:20210918152959j:plain

 

f:id:alcoholicman:20210918153123j:plain

京都市教育委員会指導主事・磨野久一による鑑定書  「脅迫状における文章構成および用語」においては、【必要な用件が、順序を追って記述されており、全体として正しくまとまっている。段落のくぎりも妥当であり、重要な箇所については、文字を大きく書き、とりたてた記述になっている。「二十万円」とせず「金・・・」を付していることも、正しい金額表記である。訂正箇所の少ないことから考えても、一気に書きあげられるだけの文章構成力のあるものと考えられる。】とある。また【本脅迫文のように、その表現にあたって、横書きを選んだ筆者は、平素、横書きの文章を書く場をもち、横書きに書きなれている者であると考えられる。】とも考察されている。                    

f:id:alcoholicman:20210918192007j:plain

 「五月2日」と「さのヤ」の訂正文字について書道家綾村勝次による鑑定書「脅迫状における筆跡」では、【書き直した箇所はあるいは左手で書き加えたもののようである。それは落筆の点に問題がみとめられる。(中略)書き直しの文字の最初のうちこみには無理な筆のあたりがある。その適例は「の」字である。本文のもとの「の」字と比較すれば、いかに苦しんで書いたかはよくわかる。つまり書き難いのに無理に書いたからである。換言すれば左手で書いているからである。また、刑札、気んじょ、死まう、等はよほど考えて造って書いだものであろう。】と鑑定されている。なお「さのヤ」とは、事件当時、酒や雑貨を扱う小さな店で看板すら出しておらず、地元の人しか知らぬ店であり、犯人はここを身代金受け渡し場所に指定した。余談であるが、当時この店の主人はよく吠えるスピッツを飼っており、犯人からすればマイナス要因となり得るが、つまり店の存在は知っていたがスピッツを飼っているという情報は持っていなかったと言える。犯人が事件全般を通してどの程度の情報量を持っていたか推測してゆきたい。