アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

闇稼業に備える 7

今から5年ほど前、私は狭山市の古本屋を訪ねた。ウサギ小屋のような狭小店舗であったが、品揃えがいい上に濃くて楽しめた。会計しつつ帳場の隅に重なった茶封筒に気付き尋ねると、発送準備完了のネット注文品とのことだ。「ウチはね、文庫本でも千円以下じゃ出さないよ」と店の親父さんは教えてくれた。そして、ネット販売にまつわる、それなりに存在するクレーマーの話、古本黄金時代を生き、娘さんを大学まで行かせた話など、短時間ながらも古本屋店主の生の話が聞け、良い時間を過ごせた。実はこの日ここに訪れてみた訳は、私が、昭和38年にこの地で起きた狭山事件に関する書籍を探しており、地元の古本屋ならば期待できると踏んだのだ。これを親父さんに伝えると「ほれ、すぐそこだよ。遺体が出たところは」と道をへだてた空き地を指差した。そして一冊だけ棚に刺さっていた狭山事件関連本を買った。こういった、人柄の良い店主と接すると清々しい気分で家路につける。   
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やや傷みがあるが、読めればそれで良い。私は神田や早稲田、中央線沿い、八王子、それぞれの古本地帯を散策しているがコレを置いていた店は無かった。せどりとは異なる、探求本を求める旅は、それがたとえ空振りに終わったとしても心身共に充実感で満たされるわけで、私はこれを一生続けるであろう。