早朝5時頃、余裕をかまし写真を撮る。眩しいな。 実は何度か自転車による川越〜高円寺行きは実行済みであった。恥ずかしくて誰にも口外していないが、密かに自転車がもたらす広域冒険の可能性とその哲学について執筆中である。今ここで、それは言えないが、やがてハーバード大などが私の元へ取材に訪れるであろう。などと夢想しながらペダルを漕ぐが、やはり駄目であった。心がヘシ折れ涙ぐみ、道中の写真を撮るのも忘れヘナヘナの体で朝霞台駅にたどり着いた。小諸そばに寄り、やたらと麺が白いざる二枚盛り喰いきり東上線へ乗り込む。片道540円、往復1.080円となると1.720円引く1.080円で640円が・・もういい。
早めに到着。近くにある電柱の裏から公安スパイのごとく会館を見張る。やがて、どこからともなく加齢臭を放つアク強め、謙虚さナシ、無礼特盛りな中高年達が、辺りに漂う古本臭につられて集まりだした。私はマスクを二重に重ね防臭対策を取る。時間ピッタリに開館し、検温を終えた者からなだれ込む。奥からドスッとかバスッと重い音が聞こえ客同士の殴り合いかと身構えたが、係の方が紐で束ねた古本塊を床に置いた音であった。会場内に充満した殺気が私を勘違いさせたのだ。なんとか五冊ほど買えたのでこの狂気と殺気に満ちた西部古書会館を早々に退散する。江戸丸に向かいゴボウ天そばを立ち喰いし腹がふくれたので帰宅する。ところで私は西部古書会館で古本を買う場合、せどりは行わず、純粋に読みたい本を買っている。本能の赴くまま古本を選ぶ行為は精神的にも爽快であるし、家に自分好みの偏った蔵書が増えていく様も愉快だ。なお朝霞台駅から川越への帰路、自転車移動の際に付きまとう単調な空気感を吹き飛ばす策はないかと思い巡らせた果てに、興奮するアイデアが浮かんだ。
(私の秘術、念写による画像)左側の箱にはアユや焼き鳥が格納される。右側の箱だが夏は氷、冬季は湯を入れ熱燗が楽しめる。これを自転車に装着するのだ。
(念写がブレた)おおっ!これならば片道50キロであろうが退屈しない。飲酒運転で検挙されぬよう田んぼのあぜ道を選んで移動すればいいだろう。古本屋へ無銭移動しつつ好きな酒を飲む。しかも肴はアユ塩焼き、焼き鳥と来たもんだ。う〜む、この備長炭の香りがいいね、などと舌鼓をうちペダルを漕ぐのはとても幸せであろう。