アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

日雇いの頃 25

肥後守を砥石で研いでみると良い。砥石は仕上げ砥でね。」私の人生に「研ぐ」という行為は無縁であった。電力など要らず、桶に水を張れば、そして傍に焼酎などあれば、速やかに楽しめそうな道楽である。大井町のはずれにある刃物店で、肥後守と京都産の天然砥石を入手し帰宅、砥石を30分ほど水に浸した後、研いでみた。これがすこぶる良いのだ。研ぐ音、乳白色の砥面に流れる鼠色の研ぎ汁、精神的にも、長年まとわりついた人生の垢が綺麗に削られていくような爽快感が得られる。堤さんによるアドバイスで、20KG以上ある欅の輪切りを台座とした砥ぎ台を作ったが、砥石がブレず、したがって砥ぎやすく刃物の研ぎ上りも良い結果となった。この、趣味の範疇を徐々に超えていく過程に異常な高揚感を感じ、私は悶えた。       

f:id:alcoholicman:20210815140113j:plain                  (ネットなど無い時代、バイブルとしていた本。右側が修繕しながら読んだ初代。左側は2代目)                          

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(スマホなど無い時代、本はメモ帳を兼ねた)