アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

日雇いの頃 8

Mさんの父親が亡くなった。遺産は莫大であった。    都内で不動産や立体駐車場の経営を営んでいた、それらを雇われた弁護士が清算すると、十数億円にのぼりMさん、母、姉で割ると、税引きで四億円弱がMさんの懐へ入ったのだ。私は内心、Mさんに奇跡的な転換期が訪れ、これを機にアパート経営でも営み余生を過ごすのだなと思っていたが、違った。徐々に遺産が入り始めたMさんは、入金された金を手当たり次第馬に賭けまくったのだった。札束をシャツやズボンのポケットに入れ、今日のレースに関して確実な情報が入っている!とつぶやき大井競馬場に駆けていく姿は、とても哀れであった。やがてMさんは会社を辞め、二年ほど後に平和島競艇場の横でばったり会った。聞くと金はほぼ使い切り、残ったのは、新車で買った自転車が一台だと教えてくれた。アーメン、である。