アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

狭山の黒い闇に触れる 499

【公判調書1613丁〜】 三つの「証拠物」 宇津泰親 〈 鞄 〉 三、『なお、六月二十一日付青木調書には、取調時刻が午後五時頃とあるのはどういうつもりであろうか。原審第五回公判で関源三は、「六月二十一日朝に被告人に書いてもらった図面で探しに行ったが…

狭山の黒い闇に触れる 498

【公判調書1612丁〜】 三つの「証拠物」 宇津泰親 〈 鞄 〉 二、絶食を始めたのは六月十九日か二十日からだと被告人はいう。絶食して二、三日経った六月二十三日頃、はじめて関源三に、三人でやったと言い出したという。この間警察は、医者を呼んで被告人を…

狭山の黒い闇に触れる 497

【公判調書1611丁〜】{更新手続における証拠に関する意見(第三十七回公判)} 三つの「証拠物」 弁護人 宇津泰親 この狭山事件の特徴の一つは、被告人の一審有罪判決のいわばキメ手は、被告人の自供に基づいて被害品が発見されたということにあった。原判決…

狭山の黒い闇に触れる 496

【公判調書1608丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 四、鑑定の怪 (三)『われわれは、どうやら結論に近づいた。 鑑定資料とされた「現場足跡」なるものは、現場にあった足跡ではなく、第三者(恐らくは加藤技師)に、現場の土で印象させた足跡であると、…

狭山の黒い闇に触れる 495

【公判調書1606丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 四、鑑定の怪 (二) 『わたくしは、ここで決定的な証拠を指摘しよう。鑑定資料(二)(一)の右足地下足袋は、拇趾が下へ強く屈曲し、第一趾以下が反対に上に屈曲して、双方が大きく喰違っていることに大…

狭山の黒い闇に触れる 494

【公判調書1605丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 四、鑑定の怪 足跡に関する捜査のやり方の、以上のような奇怪さは、採取したと称する足跡に基づく鑑定のやり方にも及んでいる。(註、ここでは、鑑定全体を批判するのではない) (一) 『警察技師関根…

狭山の黒い闇に触れる 493

【公判調書1604丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (七)、長谷部の口による足跡採取の話が出てきたから、そのことについて最後に触れておく必要がある。というのは、この実況見分調書本文には、どこにも足跡を採取したとは書いてい…

狭山の黒い闇に触れる 492

【公判調書1602丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (六)、『もっとも、この点についても、二審証人長谷部梅吉は答弁を用意してきた。彼は、第二の足跡について、五月三日の夕方に捜査員を集めて調べたら、「当時そこへ入った者もな…

狭山の黒い闇に触れる 491

【公判調書1601丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (五)、『ここまで考えたとき、われわれは次のような重要な事実を指摘しておかないわけにはいかない。それは、この実況見分調書は、足跡について誤りながら、驚くことには、足跡自…

狭山の黒い闇に触れる 490

【公判調書1600丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (四)、『第二と第三の足跡については、ひとまとめにして最初「被疑者の足跡と思料される通称地下足袋跡が印象されてあったのは二ヶ所あった」と書いてある。これは不思議なことに…

狭山の黒い闇に触れる 489

【公判調書1599丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (四)、『発見した足跡の数が少なかったという問題は、これで解決した。しかし、問題はその先にある。現場の状況が右のようであったのに、見分者はどうやって特定の足跡を犯人のも…

狭山の黒い闇に触れる 488

【公判調書1598丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (三)、『畑の中の土壌は非常に柔らかかったのであるから、実際に犯人がやって来て畑の中に潜み {そのことは争いのない事実であるが } そこから逃げて行ったのであれば、その連続し…

狭山の黒い闇に触れる 487

【公判調書1597丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 (二)、『第二の足跡についての記載もまた奇怪至極なものである。 それは、農道から畑の中を西に向かって「十八ヶ」あったという。それは畑の中途で消えている。その先のことは書い…

狭山の黒い闇に触れる 486

【公判調書1596丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 二、足跡採取の怪 さて、この実況見分調書の記載は、一見なんの変哲もないように見える。しかし、すこし注意して読むと、われわれ法律実務家の常識からはとても素直には受取れない、数々の問題を含…

狭山の黒い闇に触れる 485

【公判調書1596丁〜】(前回より続く) 「足跡は偽造された」 植木敬夫 (三)右のような喰違いは、例えば被害者の殺害状況についての被告人の取調べのように、自白を客観的事実に合わせるための執拗な努力を行なえば、簡単に一致させることができた筈のものであ…

狭山の黒い闇に触れる 484

【公判調書1594丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 一、足跡と自白は一致しない われわれはまず、その出発点として、本件の足跡とそれに関する自白との関係の問題から入っていきたい。 (一)昭和三十八年五月二日の夜、正確には三日午前〇時十分頃、本…

狭山の黒い闇に触れる 483

【公判調書1593丁〜】 「現場足跡は偽造された」 植木敬夫 はしがき 『この事件の記録をざっと一読すると、われわれはまず、この事件には比較的よく物証が整っている、という印象を受ける。ところが、もうひとつ気を付けて読んでみると、今度はその物証の整…

狭山の黒い闇に触れる 482

【公判調書1590丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 6.『首に絞められていた木綿細引紐を巡る問題の検討を通じて、これまでにいくつかの教訓を導いた。これは本件において証拠の評価はいかなる態度をもってなすべきか、物的証拠、客観…

狭山の黒い闇に触れる481

【公判調書1588丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 5.『木綿細引紐は問題がもう少し発展する。自白調書では「麻縄は荒縄と一緒に盗んだが、それは倒してある梯子の附近にあった」と一貫している。被告人は当審第二十六回公判で次の通…

狭山の黒い闇に触れる 480

【公判調書1587丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 4.『そこで更に進もう。長谷部証言の第九回公判調書によれば、「死体の状況は最初、やらんから判らんと言っていたが、被害者の父に詫びたいとか手紙を出したいというようになってか…

狭山の黒い闇に触れる 479

【公判調書1586丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 3.『更に、長谷部証言をみると、「縄は、農家ではなく普通の勤め人の家庭だったので、捜査員が聞込みに行かなかったと思う。捜査員は大体、農家の聞込みをした」というのであるが、…

狭山の黒い闇に触れる 478

【公判調書1585丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 2.『第一に、自白が客観的事実と明確に食い違っていることである。当審における被告人の供述によれば、「首に縄を死ぬ前にかけたかどうかを聞かれたが、よく判らなかったので関に相…

狭山の黒い闇に触れる 477

【公判調書1584丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第四、証拠評価の態度 『本件で被告人と犯行を結びつける証拠があるだろうか。今言ったように(前回の“4.”参照。筆者)、一見証拠が整っているかのようである。まず自白があり、自白以外にも犯行と被告人を…

狭山の黒い闇に触れる 476

【公判調書1583丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第三、本件の特徴 3.『本件の関係者の中に、自殺者が続出したという事実をも注意しておかねばならない。本件発生直後、農薬を飲み井戸に飛び込んで自殺した奥富玄二は、もと被害者中田善枝の家で働いてい…

狭山の黒い闇に触れる 475

【公判調書1582丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第三、本件の特徴 1.『本件において証拠の中心となっているのは自白である。各弁護人の意見が自ずと明らかにするように、それは唯一の証拠であると言ってもよい。吉展ちゃん殺しの犯人取り逃し、別件逮捕…

狭山の黒い闇に触れる 474

【公判調書1580丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第二、被告人の主張 4.『被告人は一審でなぜ自白を維持したか。一言で言えば、長谷部ら取調官の「十年で出してやる」といったことを完全に信用したからである。もっともこの信用を崩さないためには拘置所…

狭山の黒い闇に触れる 473

【公判調書1579丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第二、被告人の主張 3.『自白が、山学校附近の十字路で被害者を捕まえた、と述べている点について被告人は、 「“その場所は三輪車を置いて畑をしていたから捕まえるわけはない、その人達に見られる” と警…

狭山の黒い闇に触れる 472

【公判調書1579丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第二、被告人の主張 2.『被告人はまた、 「本を捨てた後脅迫状を届けに行く道筋について、本を捨てたところは、佐野屋のちょうど前に出る道があるので、沢街道のところまで地図を書き始めたら、そっちでな…

狭山の黒い闇に触れる 471

【公判調書1578丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 第二、被告人の主張 1.『例えば、自供のうち死体についていた縄の点について被告人は、「死体がどういう風にいけてあったか縄のことなんか判らなかったので関さんに相談したい、と言って関さんに相談した…

狭山の黒い闇に触れる 470

【公判調書1576丁〜】 「狭山事件の特質」 中田直人 (前回より続く)『「“やま学校の方で俺を見たという人がいる” とか “東島が俺と一緒にやったと言っている。お前がやらないと言っても、東島が言っているから裁判に行ってお前がやったことになる” と言われ…